Webレポート
大型希少鳥類の生息環境を再生・創出する地域活動
【中標津町】 NPO法人EnVision環境保全事務所 Webレポート
事業名:大型希少鳥類の生息環境を再生・創出する地域活動
標津川流域はタンチョウやオジロワシのような大型の希少鳥類にとって非常に重要な生息地です。かつてはシマフクロウの生息地も多数ありました。本事業はこの標津川流域を対象に、大型希少鳥類をアンブレラ種・シンボル種として掲げ、生息環境を再生・創出することが目的です。
事業対象地である標津川水系の支流では、令和3年と4年に環境省の「シマフクロウ等希少4種の生息環境整備事業」の一環として、河川の環境整備が進められました。シマフクロウの餌資源であるエゾハナカジカのような底生魚を増やすために、既設魚道の内側や側面に木組みのスロープを設置し遡上阻害の解消をはかりました。しかしその後、経年劣化により落差が再露出していることが課題となっていました。そこで本事業では、この生息環境整備活動を再興し、底生魚や水棲生物をより増加・定着させるために、魚道内スロープの修復や石倉の増設を行いました。また活動を継続させるために地元の参加や協力が不可欠であるため、地域連携の協力体制の構築と普及啓発にも取組みました。地元の人にも継続して参加してもらえるよう、中標津町内で事業説明と意見交換を行い、一緒に事業対象箇所や対策手段を協議しました。元の事業主体である環境省や、河川の管理主体である北海道庁とも協議を重ねました。
川での作業に地元の子供たちや市民グループに参加してもらえるよう、中標津町や地元関係者の協力のもとで参加を呼びかけました。約50名で実施できる運びでしたが、当初の実施予定日が大雨となり、日程を延期せざるを得なくなりました。そのため残念ながら参加者が減り、予定していた石倉作りの規模も小さくなりましたが、それでも効果的な対策を施すことができました。既設魚道内のスロープを修復するとともに、大型の石を積み上げ、底生魚や水棲生物の増加と定着を図りました。
魚類や水棲生物の調査・観察も行いました。環境整備の効果を検証するために、今後は地元参加型のモニタリング活動として継続できるよう、調査手法や体制を確立する予定です。
さらに標津川流域の広い範囲で生物多様性保全を進めていけるよう、地域連携を図る協議・意見交換の場を設けました。11月には中標津町で市民フォーラムも開催しました。専門家によるシマフクロウの生態や行動、標津川に生息する魚類層等についての講演ともに、中標津町や標津町の自然保護の現状や課題、格子状防風林の存在意義や、近年注目されているメガソーラー問題、自然共生サイトの紹介といった話題提供がありました。
今後も本活動を継続し、さらに発展させるため、地元への還元や市民参加を促進し、地域活動としての定着を目指します。本事業をきっかけとし、大型希少鳥類の生息環境の再生・創出の活動をしっかりと定着させ他地域にも展開させたいと思います。
NPO法人EnVision環境保全事務所
NPO法人EnVision環境保全事務所
大型希少鳥類の生息環境を再生・創出する地域活動
当法人は、技術開発や政策提言を通じて生物多様性保全に資することを目標に掲げています。EnVision(エンヴィジョン)とは、”En”vironment(環境)と”Vision”(展望)を掛け合わせた造語で、「環境についての展望を切り開き提案する」という意志を表します。環境問題の解決を阻む様々なギャップを埋めるため「つなぐ」ことを大切にしています。人と人をつなぐこと、地球と地域つなぐことができるような活動を進めています。