Webレポート
渡島大沼のアオコ・漂流ごみ回収ボートの改良・改善と回収したアオコの利活用
【七飯町】 「北海道七飯高等学校 科学同好会」 Webレポート
北海道七飯高等学校 科学部(生徒7名)は、北海道e-水プロジェクト助成金で、渡島大沼のアオコ・漂流ゴミ回収ボートの改良・改善と回収したアオコの利活用事業を実施しました。
まず、私たちは渡島大沼の水質環境の現状を把握するため、5月、7月、10月、11月に、水質調査を行いました。月1回のペースで調査する予定でしたが、学校行事や大雨の影響で毎月行くことができませんでした。大沼8ヶ所で採水し、水のにごりや匂い、水温などを観察し、気づいたことを記録しました。また、簡易水質検査(パックテスト)を行い、大沼に流入する川の水質が、場所によって大変違うこともわかりました。
また、水質調査と同時に、バケツや網などで水面に浮いているアオコを採取して学校へ持ち帰り、利活用品を作成しました。
アオコは、バットに流し乾燥させると、パリパリとした薄いフィルム状の物に変化します。それを私たちは乳鉢などで粉砕し、粉状のアオコを作りました。そのアオコ粉を用いて、クレヨンを作ってみましたが、油分が多すぎたのかうまく固めることができませんでした。こちらは、試料の配分などをもう少し改良する必要があると感じました。続いて、着火剤も作りました。ロボットボートによるアオコ回収はコットンに染み込ませて回収していましたが、そのアオコが染み込んだコットンは、廃棄処分になっていました。そこで先輩の代から、ただ捨てるのはもったいないとのことで、そのコットンを乾燥させ、ワセリンを塗って着火剤にできないかと研究していました。ワセリンの量が多いと20分以上燃えてしまうので、今年はワセリンの量を少なめにしたり、アオコが有るか無いかで燃焼時間に変化が見られるのかも実験したりしました。ワセリンの量を少なくすると12分ほどで燃え尽きるのがわかりました。また、アオコが有るか無いかの比較実験では、アオコがある方が長く燃えることがわかりました。しかし、アオコの無い方は真新しいコットンを使用したので、空気を多く含んでいるため早く燃えたのではと考え、今後は条件を同じにしてもう一度燃焼時間を比較する必要があると考えました。
染め物では、どうしても色が思うほど濃く染め上げられず、大変苦労しました。アオコを直接使った染め方では、肌にアオコが付くのでは無いかと考え、今回は一度アルコールで色素を抽出してその後濾過してから染めることにしました。染めたときは緑色でしたが、乾くとやはり色が変化して、薄いベージュピンクの色になってしまいました。今後は、アオコの量を増やしてみる、または染める試薬を変えてみるなど、多方面から挑戦したいと思います。
ロボットボートは、本体がプラスチックでできているので、今回は木製にしてできるだけプラスチックの量を減らしたボートの作成をしました。慣れない木工作業や浮きの調整など大変苦労しましたが、完成した物を無事に大沼で浮かべることができたのは本当によかったです。今後ももっとプラスチックの量を削減した物ができないか研究していきたいです。
最後に、今年は8月にはこだて国際科学祭に参加し、ポスターセッションに参加しました。この活動は地元の新聞でも取り上げられました。8月下旬には高文連道南支部理科部研究発表大会に参加し、奨励賞をいただきました。また、9月には湿地学会に参加し、ポスターセッションにて特別賞をいただきました。さらに、11月には函館のNHK様からの取材を受け、私たちの活動をローカルニュースで放送していただけました。
今後は今までの経験やデータを活かして、様々なアプローチで大沼の水質環境を周知・保護していきたいと考えています。
北海道七飯高等学校 科学同好会
渡島大沼のアオコ・漂流ごみ回収ボートの改良・改善と回収したアオコの利活用
函館市の隣町、七飯町にある大沼(ポロト)の水質改善について、町内唯一の高校である七飯高校の生徒が挑戦しています。北海道駒ヶ岳のふもとにある大沼は、かつては透明度の高い湖でした。近年はアオコが発生するようになり、そのアオコや漂流ごみの回収ボートの改良・改善と、回収したアオコの利活用について取り組んでいます。