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事業名

公開シンポジウム「北海道の湖沼の現状と課題」

【七飯町】 日本湿地学会2025年度大会実行委員会 WEBレポート

日本湿地学会2025年度大会実行委員会は、北海道e-水プロジェクト助成を受け、2025年9月6日(土)に大沼国際セミナーハウスにて、公開シンポジウム「北海道の湖沼の現状と課題」を開催しました。

北海道には面積が1 ha以上の天然湖沼が224湖沼あります。そうした湖沼は、多くの生物の生息地となるだけでなく、風光明媚な景観を形成し、レクリエーション、漁業、農業などを通じて様々な恵みを私たちにもたらしてくれますが、閉鎖的な環境ゆえに水環境の悪化が問題となりやすい特徴を持っています。そこで、本シンポジウムでは、湖沼生態系の保全と持続的な利用に向けて、北海道の湖沼の現状と課題を整理することを目的としました。

道内の湖沼の環境課題として、特に平野部にある湖沼では富栄養化など水環境が悪化しており、アオコの発生等を通じて、生物多様性のほか、観光・農業・漁業に悪影響が出ていました。そうした湖沼の保全再生に向けては流域単位における対策が必要ですが、様々な利害関係者が集まり、共通のビジョンのもとで対策を実施する社会的な仕組みがないことが、ガバナンス上の課題として指摘されました。

将来的な方向性としては、これまでの規制型の湖沼管理から、多くの関係者の共感と参加を可能とする価値創造型の湖沼管理に切り替えることが議論されましたが、そのためにも自然体験学習の充実や法律の整備が必要との意見がありました。また、多くの湖沼ではモニタリングが不十分であるため、継続的にモニタリングを実施し、その結果を体系的にとりまとめ、道内湖沼全体の保全管理にフィードバックする必要性なども議論されました。

シンポジウムは予定していた2時間を超過し、十分な議論はできませんでしたが、これまでにない切り口で道内の湖沼の課題に迫ることができ、将来的な展望を示すことができました。また何かの機会を作って議論を継続できればと思います。

しずくコース

日本湿地学会2025年度大会実行委員会

事業名

公開シンポジウム「北海道の湖沼の現状と課題」

日本湿地学会は2008年9月に発足し,2009年9月の第一回大会以降,毎年年次大会を実施している.湿地学会では年次大会ごとに大会実行委員会を組織しており,2025年9月に大沼(北海道七飯町)で開催を予定している第17回大会に向けて「日本湿地学会2025年度大会実行委員会」が発足した.大会実行委員会は,大会参加者を対象として研究発表会やエクスカーションを企画運営するほか,一般向けの公開シンポジウム等も開催する.