Webレポート

事業名

南空知の流域土壌炭素含有率を増加させて河川生態系の回復を目指す活動

【岩見沢市】北海道岩見沢農業高等学校 農業土木工学科農業クラブ Webレポート

◆団体名 北海道岩見沢農業高等学校 農業土木工学科農業クラブ

◆事業名 南空知の流域土壌炭素含有率を増加させて河川生態系の回復を目指す活動    

 

私たちは、石狩川の水質改善と農業生産性を両立するために、土壌炭素に注目して研究を続けています!森や水田、畑などの土壌炭素が多くなると、水はきれいになり、農業生産性も向上する可能性があります。そこで今年度の研究活動を、

1.石狩川を中心とした河川の実態調査 

2.炭資材による土壌炭素と農業生産の関係 

3.堤外地野草による堆肥と堆肥によるカリウム確保に向けた取り組みとしました。

 

今年度、岩見沢市を中心に幌向川、幾春別川、美唄川の上流と下流、篠津川と、調査地点を南空知に広げることとしました。まず、GISを活用して、流域の土地面積と、土地利用面積を測定しました。河川の状態を確認するために、水質計を用いたpH、電気伝導率、などの調査と河川水のサンプル採取を行いました。また、採取したサンプルから、CODや硝酸態窒素などを測定しました。

その結果、流域の土壌炭素が増加すると、河川水の硝酸態窒素は少なくなる、水はきれいになる可能性が見えてきま した。 

 

また、岩農芝生試験圃場で、土壌炭素を増やすための実験を行いました。今年度は地元で有効活用されず廃棄されてしまうもみがらと、平尾化建株式会社が販売する炭微粉末であるGEビガーの二つに選定。GEビガーのみ散布、もみがらのみ散布、GEビガーともみがらの両方散布、対照区の4パターンを3反復し、観察実習と牧草や土壌の採取を定期的に行いました。採取した土壌サンプルは、よく乾燥させ粉砕し、土壌炭素、pH、硝酸態窒素などを分析しました。 

その結果、乾燥させた草の量は、「GEビガー+もみがら」が、もっとも多くなりました。GEビガー単独よりも、もみがらなどを一緒にまくと効果が高いことが分かりました。 この結果から、もみがらを有効利用できる可能性があると考えました。土壌炭素も、「GEビガー+ もみがら」が、もっとも多くなりました。土壌炭素でも、炭単独よりも、もみがらなどを一緒にまくと効果が高いことが分かりました。この結果から、もみがらを有効利用して農業と環境を両立できる可能性があると考えました。 

次に、農耕地の土壌から流出した化学成分を含んでいる堤外地の野草に注目しました。東利根別川の河川敷に植生している野草の植生高を計測、採取したのち、カリウム量を測定しました。そして、岩農農場の土地利用をGISで解析しました。測定の結果、堤外地の草には、1.9%のカリウムが含まれており、1haあたり200kgのカリウ ムが確保できることが分かりました。 

これを岩農農場で置き換えてみると、岩農の耕地面積は4ha、必要カリウム量は400kgであ り、岩農近辺の堤外地はおおよそ3.4ha。植生をもとに確保できるカリウム量を計算すると約600kgであるといえます。そのため、耕地面積とほぼ同じ程度の堤外地などがあれば、耕作に必要なカリウム量を確保することが可能となるかもしれません。

堤外地で堆肥を作り、水田や畑に炭素とカリウムを供給する。そして農業と環境を両立する。これは来年以降、詳しく研究していき、結果を出していきたいと思います。

北海道岩見沢農業高等学校 農業土木工学科農業クラブ
しずくコース

北海道岩見沢農業高等学校 農業土木工学科農業クラブ

事業名

南空知の流域土壌炭素含有率を増加させて河川生態系の回復を目指す活動