Webレポート

事業名

豊かな河川環境の復元調査

【平取町】特定非営利活動法人 沙流川愛クラブ Webレポート

◆団体名 特定非営利活動法人 沙流川愛クラブ

◆事業名 豊かな河川環境の復元調査

沙流川愛クラブの会員は、かつて沙流川下流域でニホンウナギを捕獲した経験を有する会員が多数おります。生活様式の変化などから、捕獲が徐々に行わ れなくなりましたが、現在でもかつてと同様にニホンウナギが遡上しているか を、自らの手で確認したい、との思いでe-水プロジェクト助成金を活用してニホンウナギの捕獲調査(採捕許可)を実施しました。 令和元年に着手したニホンウナギ調査では、自作のハエナワやドウをかつて捕獲した経験から思しき場所に仕掛けましたが、生息を確認することはできま せんでした。捕獲時期やエサ、漁具、河川改修の影響など会員間で議論を重ね ましたが、ブランクの長さから専門家に相談し、指示を仰ぐこととなりまし た。

 

翌令和2年、北海道河川での魚類調査の第一人者である、一社)流域生態研究所・妹尾優二所長を招聘し、調査の立会いとともにニホンウナギや河川環境に関するレクチャーをいただきました。この年の調査では、第2回調査(7/18)において妹尾所長の電気ショッカー調査により、ニホンウナギ(稚魚)を確認することができました。(シラスウナギ 5-6cm 程度・1 尾)ニホンウナギの生息確認とともに、沙流川河口域での多数の魚種が確認され、道内他河川と比較しても豊な魚種である、とのご意見をいただきました。 令和3年調査も妹尾優二氏の指導の下、令和2年の捕獲と同日程 7/17-18 で 調査を行いました。

この年の沙流川の流況は一年を通して渇水と言ってよいほど水量が少なく、調査当日も炎天下かつ河川流水も生暖かく、ヤマメなど清水を好む魚が酸欠状況 になっている場所もありました。渇水・高温に不安を抱きながらも、妹尾所長の電気ショッカー調査により、15cm ほどに成長したニホンウナギ(通称黄ウナギ)が 2 尾確認することができました。 

令和4年度調査は、上記の経験を踏まえ、さらに大きく成長した成魚の捕獲を期待して過去2年と同様に妹尾優二氏とともに調査を行いました。過去の実績のある同日程7/17-18の調査日でしたが、あいにく前々日から流域内の降雨により水位は上昇し、濁りもありあいにくの条件下での調査であり、本年度調査ではニホンウナギは確認できませんでした。

調査開始から4年間を経てニホンウナギの生息に適した環境や、定位場所についてイメージできるような知見を得ることができたと同時に、ニホンウナギの生息に適した環境が流域内に多くない状況を把握することとなりました。加えて、自然災害の影響により河口域の底泥堆積など、河川環境の変遷も観察を続けることが重要であると活動を通じて認識しました。 河川内での生態などが類似するヤツメウナギも全国的に希少となりつつある中、沙流川では多くのヤツメウナギの幼生が確認できているため、こうした魚種が多く河川内で生息できる環境とはどのようなものかを模索することが今後の活動の焦点となるものと思い ます。

 また、サケ・マス類およびシシャモに加えて、ニホンウナギも生息する河川は国内でも稀有であること、豊富 な動植物(魚類)種の生息環境を保全することは、国立公園化が予定されている日高山脈襟裳国定公園におけ る沙流川の自然環境の豊かさと、地域にとって何を残すべきかを考えるうえで重要な取り組みだと考えていま す。今後も、より魅力的な水辺環境創出に寄与してゆきたいと考えております。

しずくコース

特定非営利活動法人 沙流川愛クラブ

事業名

豊かな河川環境の復元調査