Webレポート
浜厚真バイオブリッツ2021~キセキの海岸でホンキの生き物調査~
【厚真町】石狩川流域 湿地・水辺・海岸ネットワーク Webレポート
◆団体名 石狩川流域 湿地・水辺・海岸ネットワーク
◆事業名 浜厚真バイオブリッツ2021~キセキの海岸でホンキの生き物調査~
石狩川流域湿地・水辺・海岸ネットワークでは、北海道e-水プロジェクト助成金で、大規模風力発電事業が計画されている浜厚真において市民科学による生物相の一斉調査(バイオブリッツ)と自然観察会を実施しました。
2021年7月30日~8月1日にかけて、専門家・市民71名が参加して、 植物、昆虫、鳥、魚、小型哺乳類の調査を実施しました。調査によって、植物230種、昆虫475種、鳥類238種、魚類12種、哺乳類・両生爬虫類・底生動物9種の計964種をインベントリーにまとめることができました。インベントリーは誰でも閲覧と利用ができるようにオープンデータベースとして公開し、調査結果をわかりやすくまとめた普及啓発資料を作成しました。今回は猛暑と干ばつの影響で記録できなかった生物も多くいると考えられるため、来年以降も補完的な調査を行い、リストの拡充を図っていきます。
8月1日には関係者向けのビーチコーミング実習と、地域住民を対象に自然観察会を実施しました。自然観察会では、生きもの展示解説ブース、ガイドウ ォークと調査体験を行い、親子連れ中心に34名が参加しました。
浜厚真 Bioblitz2021を通じて、大規模風力発電事業の計画地である浜厚真が、多くの希少生物を含む多様な生き物の生息地となっていることを示すことができました。また、自然観察会を通じて、浜厚真の自然の価値と魅力を多くの方に知っていただくことができました。
浜厚真には、砂浜、海岸草原、湿原、沼など多様な環境で構成される、胆振・日高管内に唯一残された幅広い自然海岸が広がっています。また、ウトナイ湖に近く、渡り性生物の重要な生息地と移動経路にもなっていることから、道内でも有数の生物多様性のホットスポットとなっています。多くの生物の生息地となる健全な生態系は、気候変動の適応と緩和も含む多様な生態系サービスを担っ ていますが、大規模風力発電事業は、鳥類や飛翔性昆虫の衝突や生息放棄といっ た生物や環境への直接的な影響に食加え、生物間相互作用を通じた間接的な影響、生息地間にまたがる累積的な影響など、生物種や生態系に深刻な影響を及ぼし得ることが指摘されています。エネルギー開発によって貴重で限りある道内の自然が損なわれることのないよう、幅広い議論と早急な対応が必要であると考えられました。

石狩川流域 湿地・水辺・海岸ネットワーク
浜厚真バイオブリッツ2021~キセキの海岸でホンキの生き物調査~