Webレポート
オホーツク海沿岸地域を特徴づける希少な草本類と昆虫類の広域調査
【斜里町】特定非営利活動法人オホーツク自然・文化ネットワーク Webレポート
◆団体名 特定非営利活動法人オホーツク自然・文化ネットワーク
◆事業名 オホーツク海沿岸地域を特徴づける希少な草本類と昆虫類の広域調査
本調査では、トモシリソウ(絶滅危惧Ⅱ)やカラフトキリギリス(希少種)を中心として希少な草本類と昆虫類の分布状況を、オホーツク海沿岸の広域において調査を行い、環境省および北海道のレッドリストに資するデータを得ることを活動の目的としていました。今年度も新型コロナ対策による移動を伴う調査活動の制約があり、また、夏季の高温少雨による生物層の生育への影響もあったことなどが重なり、結果として思うような継続的な共同調査活動並びに成果を得ることができなかったものの、宗谷地域から根室地域に及ぶ広大な範囲を6月上旬から10月上旬に渡り、 限られた人数で計 13回の調査を実施しました。
【 成 果 】
・トモシリソウ
根室地域の一部の岩場で確認されたのみでした。同じような火山岩地域でも生息場所が限定されていると考えられます。
・カラフトキリギリス
斜里町と小清水町の海岸草原の一部で確認されたのみでした。同じような海岸草原地域でも生息が確認されないほど、生息環境に左右されやすい種である可能性が高いと推察されます。
【 今後の展望 】
今年度の計13回に及ぶ広域調査の中で、トモシリソウやカラフトキリギリスの生息分布については期待した成果が出なかった一方、生息地域がかなり限定されている可能性が高く、希少種としての価値が高い種であることが改めて示されました。
また、今回の調査では前述の種以外の絶滅危惧種や希少種なども確認されました。植物ではムシャリンドウ、エゾノヨモギギク、バシクルモン、シコタンタンポポ、カラフトイバラ、シバナなど、昆虫ではカワハラカマトリバなど合わせて数十種にも及びました。
今後は地球温暖化による環境変化や各種の開発工事に伴い生息域を縮小する種が相当数出現すると推察されるため、継続したオホー ツク海沿岸地域の詳細な分布確認調査が必要と考えます。

特定非営利活動法人オホーツク自然・文化ネットワーク
オホーツク海沿岸地域を特徴づける希少な草本類と昆虫類の広域調査