Webレポート
豊かな河川環境の復元調査
【日高町・平取町】特定非営利活動法人沙流川愛クラブ Webレポート
団体名:特定非営利活動法人 沙流川愛クラブ
事業名:豊かな河川環境の復元調査
沙流川愛クラブでは、かつて河口域でニホンウナギを捕獲した経験を有する会員が多数おります。
生活様式の変化などから、捕獲が徐々に行われなくなりましたが、現在でもかつてと同様にニホンウナギが遡上しているかを、自らの手で確認したい、との思いでe-水プロジェクト助成金を活用してニホンウナギの捕獲調査(採捕許可)を実施しました。
当初は5月~8月の計4回の調査予定でしたが、諸般の事情から6月から3回の調査となりました。調査に当たって北海道河川での魚類調査の第一人者である、一社)流域生態研究所・妹尾優二所長を招聘し、調査の立会いとともにニホンウナギや河川環境に関するレクチャーをいただきました。
結論として、第2回調査(7/18)において妹尾所長の電気ショッカー調査により、ニホンウナギ(稚魚)を確認することができました。
ニホンウナギの生息とともに、沙流川河口域での魚種の減少も当クラブでの課題でしたが、この日の電気ショッカーによる調査では多数の魚種が確認され、道内他河川と比較しても、豊な魚種である、とのご意見をいただきました。
一方で、河口域の底泥堆積により河川環境がかつてと異なっていることは専門家も認めるところで、要因として自然災害等も考えられるため、観察を続けることが重要とのご意見をいただきました。
ニホンウナギの生息については、今年は西日本でシラスウナギの豊漁が伝えられており、フィリピン海沖でふ化する稚魚の個体数が多かった旨の報道がなされていました。この報道を裏付ける結果として、稚魚が回遊し沙流川に流れ着き、遡上をしていたようでした。
今回調査では体長5~6cmの稚魚のみの確認でしたが、稚魚が流れ着いているのであれば、かつて多くのニホンウナギが生息した経緯からも、今後も沙流川に多くの成魚が生息することに期待が持てます。
今後の事業においては、成魚の生息確認に注力することと、ニホンウナギの生息に適した河川環境の形成に、当会なりに調査・研究を重ねながら、豊かな沙流川の環境復元を目指す会員の思いは高まっております。
ニホンウナギ生息の公表について、調査手法が電気ショッカーにより、かつ専門家しか使用できないことから、沙流川愛クラブでは捕獲場所を特定せずに生息を公表することとしました。(乱獲防止の観点から、多方面の方にご相談し、ご助言を賜りました)
今後の展望として、サケ・マス類およびシシャモに加えて、ニホンウナギも生息する河川は国内でも稀有であるため、豊富な動植物(魚類)種の生息環境を保全することは、国立公園化が計画されている日高山脈襟裳国定公園との相乗効果で、沙流川(沙流郡2町)の自然環境の豊かさのアピールと、知名度アップが図れるのではないかと期待しております。
また自治体への河川環境提言、利水・治水事業へのアドバイスにより、より魅力的な河川環境創出に寄与してゆきたいと考えております。
特定非営利活動法人 沙流川愛クラブ

特定非営利活動法人沙流川愛クラブ
豊かな河川環境の復元調査