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事業名

シブノツナイ湖沿岸とその集水域に分布する湿地の希少種調査

【斜里町】特定非営利活動法人オホーツク自然・文化ネットワーク Webレポート

団体名:特定非営利活動法人オホーツク自然・文化ネットワーク 

事業名:シブノツナイ湖沿岸とその集水域に分布する湿地の希少種調査 

 

特定非営利活動法人オホーツク自然・文化ネットワークは、北海道e-水プロジェクト助成金で、湧別町と紋別市にまたがるシブノツナイ湖沿岸とその集水域で、その湿地に生息する希少種の調査事業を実施しました。

 本事業では、シブノツナイ湖沿岸とその集水域の湿地を対象に、希少種を中心にした生物相の調査を5月末から11月中旬まで行い、環境省および北海道のレッドリストに資するデータを得ることを目的として実施しました。今年度は新型コロナウィルスが流行したこともあり、思うような調査や他の団体や組織との連携調査ができませんでした。

調査は5月末に1回、現地の下見を兼ねた生物相調査を団体のメンバーで実施しました。

 6月には2回、7月に3回、9月に2回の調査を団体メンバーで実施しました。地表性昆虫や水生生物、植物など、希少種を中心とした調査を実施し、随時採集や記録を兼ねたデータの蓄積を行いました。この中で、当初、当法人が独自に前年に行った古環境調査の結果から群落の期待があったヤチヤナギは全く確認できず、湖周辺域の湿地環境の変化が進み、消失した可能性が高いことがわかりました。また、湖が汽水湖であることが判明し、水生生物、特に昆虫類が少ないこともわかりました。さらに、湖周辺の陸地は牧草地で覆われており自然林残存率が低く、湖の水生植物もヨシとフトイからなる単純群落で、単調な湖岸自然環境であることがわかりました。この間の調査で、海岸付近に砂丘特有の植物、昆虫類が生育、生息していることが判明し、調査の中心を湖全域から海岸部周辺へと移していきました。その結果、希少植物であるトモシリソウ(絶滅危惧Ⅱ類)や準絶滅種のタライカヤナギ、オオバタチツボスミレや国内2例目の発見となるクサフジチビケシキスイ、ハマベホソメイガなどの調査が進んでいない昆虫類も数種発見されました。

 10月と11月には各1回調査を団体メンバーで実施しました。今後の継続調査を鑑み、湖周辺の全体像を確認するためのドローン撮影や湖に集積する河川中流域での自然環境(地質や植物相状況確認)などの調査を実施しました。

 今回の事業では調査期間や回数が少なく、人員も限られ、片道2時間以上かかる道のりを移動しての調査であったこともあり、当初期待していた以上の成果は得られなかったものの、初となるシブノツナイ湖における生物相のリスト作成ができたことは地域にとっても研究機関等関係機関にとっても大きな成果であったと思います。

今後は、希少種が確認できると考えられる河川域や湖沼周辺湿地と海岸砂丘部に焦点を当てた調査の継続の他、地球温暖化など当地域における自然環境がどのように推移して来たのかを調べるための古環境変遷にも注目した調査を展開していきたいと考えています。

特定非営利活動法人オホーツク自然・文化ネットワーク
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特定非営利活動法人オホーツク自然・文化ネットワーク

事業名

シブノツナイ湖沿岸とその集水域に分布する湿地の希少種調査