Webレポート
ヒブナ産卵地保護を目的とした、効果的なウチダザリガニ駆除方法の開発
【釧路市】釧路自然保護協会 Webレポート
団体名:釧路自然保護協会
事業名:ヒブナ産卵地保護を目的とした、効果的なウチダザリガニ駆除方法の開発
釧路自然保護協会は、北海道e-水プロジェクト助成金で、ヒブナ産卵地保護を目的とした、効果的なウチダザリガニ駆除方法の開発事業を行いました。
春採湖はヒブナの生息地として天然記念物に指定されていますが、そこでは外来種ウチダザリガニの増加とともにヒブナ産卵草のリュウノヒゲモとマツモの衰退が起き、ヒブナの産卵環境の悪化が指摘されています。また、釧路市を始めとし全国でウチダザリガニの駆除事業が行われていますが、その絶滅に成功した報告は未だにありません。
釧路自然保護協会は春採湖内にウチダザリガニ(以下ザリガニ)の侵入を防止する区域を作り、そこでのザリガニの絶滅を目指しています。
今年は侵入防止壁の効果を検証するため、以下の駆除実験をしました。
7月7日に、春採湖北西岸に予備調査用のザリガニ侵入を防止する障壁に囲まれた5×5m2の方形区を1個設置し、その後は捕獲によるザリガニ捕獲効率の低下を確認しました。
8月20、21日に春採湖北西岸に5地点を選び、各地点に3種類の4×4 m2の方形区を設置しました。方形区3種類の内容は、ザリガニの侵入を防ぎ継続的にザリガニを駆除するもの、ザリガニの侵入を防ぎ一時的にザリガニを駆除するもの、ザリガニの侵入を自由にさせ継続的に駆除するものです。
8月24、27日、9月4、7、9、10、12、16日に杭による方形区の補修やブロックの重りによる方形区の強化を行い、9月12日に各方形区内にサンマを餌としたザリガニ捕獲用のワナを4設置し、11月14日まで毎週ザリガニを捕獲殺処分しました。
5地点のうち1地点は波や風がザリガニの侵入を防ぐ障壁を破壊し方形区の設置が困難でしたが、4地点で実験結果が得られました。
9月16日から11月14日までの毎週の結果では、ザリガニの侵入を防いだ方形区と、自由に侵入できた方形区の間で捕獲される個体数に差はなく、どちらの区でも捕獲個体数の減少が見られ11月7日にはどちらの区でもザリガニが捕獲できなくなりました。
この結果から、方形区の種類別による捕獲効果の違いを調べるためには、来年さらなる継続的捕獲を行う必要があると考えられました。
釧路自然保護協会