Webレポート
小さなごみも見逃さない!マイクロプラスチックを探せ!!
【網走市】網走川流域の会 Webレポート
団体名:網走川流域の会
事業名:小さなごみも見逃さない!マイクロプラスチックを探せ!!
「沈黙の春」。自然を破壊し、人体をむしばむ化学物質の乱用の恐ろしさについて、初めて警笛を鳴らしたレイチェルカーソン著書です。出版された1962年以降、人類は化学物質による公害問題を解決するために、今なお有効な手立てを探っています。
そして近年、これに次ぐ、新たな環境問題として取り上げられるようになったのが、マイクロプラスチック(MP:直径5㎜以下のプラスチックごみ)です。MPの発生源には、洗顔料や歯磨き粉に含まれる5㎜以下で製造されるマイクロビーズ(1次MP)と、プラスチック製品が劣化してバラバラになったもの(2次MP)の2種類があります。マイクロビーズについては使用を制限するようになってきたが、後者の2次PMは大量にあるブラスチックごみに熱が加えられたり太陽光があたることで、もろく砕け、今も増え続けていきます。
これらMPの大きな問題は、木材や草などとは異なり、いくら小さくなっても完全に分解されることがないことです。そのため、MPを小さな生き物が食べ、さらにその小さな生き物をより大きな生き物が食べることで、生態系全体に汚染が広がっていきます。また、MPは、残留性有機汚染物質を吸着する性質があり、これを食べた生き物が死亡するという報告もあります。このように様々な環境問題を引き起こすMPの汚染は、これまで海洋の問題だと考えられていたが、2019年に日本の川にもMPが存在することが明らかになりました。
こうした問題を受け、私たちは、網走川流域の1市3町で流域一斉清掃を行いました。その結果、416名が活動に参加し、770㎏のごみを拾いました。このうち、ビニールやペットボトルなどのプラスチックごみが多く存在しました。私たちがごみ拾いを行った場所は、流域内でも限られた場所にとどまり、拾いきれないプラスチックごみがマイクロプラスチックとなって流域を汚染していることは容易に想像できます。そこで、東京理科大学の片岡智哉氏を講師に、マイクロプラスチックの勉強会を実施しました。勉強会には、33名が参加しました。また、美幌博物館で開催したロビー展にも多くの来館がありました。このことは、MPへの関心の高さと言えます。最後に、網走川流域で行ったマイクロプラスチック調査について紹介します。1市3町で行った調査では、MPが確認されました。しかし、個数および質量について全国平均の1.6個/㎥(0.4㎎/㎥)と比較するとMPの数や重量が非常に少ないことがわかります。網走川流域においてマイクロプラスチックが少ないことは、流域一斉清掃や環境学習を進めている成果かもしれません。今後、この問題を受け、プラスチックごみの出ない社会づくりを行うため、さらなる情報発信と、モラルの向上が必要だと痛感しました。