Webレポート
渡島大沼の特定外来生物であるウシガエルの分布拡大の防止及び駆除を目的とした生息調査
【七飯町】北海道七飯高等学校 科学部 Webレポート
団体名:北海道七飯高等学校科学部
事業名:渡島大沼の特定外来生物であるウシガエルの分布拡大の防止及び駆除を目的とした生息調査
七飯高校科学部は、北海道e-水プロジェクト助成金で、渡島大沼において、特定外来生物であるウシガエルの生息域の拡大防止及び駆除を目的とした生息調査を行いました。
捕獲調査は、4月上旬~11月下旬までの週末に50回ほど行いました。調査方法は深夜にカゴ罠や四つ手網を水中に沈め、翌朝に引き上げる方法を用いました。そして掛かった個体の数、体長や体重などの個体データ、捕獲場所の環境や周辺植生などを記録することで大沼におけるz生息分布図を作成しました。また、捕獲が難しい成体については目視による確認、集音による確認も同時に行い、成体の分布についても確認することができました。その結果、予想以上に、広範囲に分布しているが、生息場所は非常に狭い限定的なものであることが分かりました。そして、ウシガエルが好む生息環境があることも分かりました。
この調査と平行して水質の調査や他の生物の調査も行いました。その結果、大沼の内湾における水質は非常に劣悪で、溶存酸素量も非常に低くなりきれいな水を好む在来種の生息には全く向かない状況であり、ウシガエルなどの悪化した水でも生息できる動物に適した状況になっていることが明らかになりました。また、大沼で見られる生物の多くは外来種であり、ウシガエル以外にも環境を撹乱し生物多様性を喪失させるおそれのある生物が存在していることも分かりました。
これらの研究結果は高文連理科研究大会道南支部大会や全道大会、全国ユース環境活動発表大会北海道大会などで発表したほか、一般市民向けに函館蔦屋書店で開催されたマルシェでも発表しました。
更に、夏場の捕獲調査では、酪農学園大学と合同調査を行ったり、地元の小学生の活動団体「大沼ラムサール隊」活動への協力も行いました。これらの活動では本校生徒が小学生と一緒になって罠を仕掛けたり、捕獲採集を行ったりと普段の活動を超えたつながりを得ることができ非常に良かったと思います。その他にも、地元の方や自治体の方から道具や活動拠点の提供を受けることができ、多くの人にウシガエルRの存在を知っていただけたことも良かったと思います。
しかし、夜の活動が主体であること、場所によっては近づくのが難しい場所が少なからずあること、湖面全体の調査を行うことができなかったなど、次年度以降の調査方法に課題を残してしまいました。また、捕獲調査の回数が増えるに従い、一種類の外来生物だけを考えて調査しても大沼全体の環境を保全することが難しいことも分かってきました。そして、元の美しい大沼を取り戻すためには多くの人にこの現状を知ってもらうことや、地元住民を巻き込んだ形での保全活動を展開しなければならいことも分かってきました。
将来的には、地元自治体の七飯町、管理者である北海道や環境省などの行政、農協や漁協、環境協会などの地元企業、そしてそこに住まれている住民を巻き込んだ形の保全活動ネットワークを形成できればと思います。そのためにも、本校の生徒達の活動を広く知ってもらう活動を次年度以降展開したいと思っています。その一つが、高校生による観光ガイド(ネガティブガイド)です。これは、標茶高校で行われている活動を参考にして生徒自身がやってみたいと考えている活動です。このように、助成金を利用させていただいたおかげで、活動の幅が広くなりました。私たちの事業を採択していただけたことを心から感謝致します。ありがとうございました。
北海道七飯高等学校科学部

北海道七飯高等学校 科学部
渡島大沼の特定外来生物であるウシガエルの分布拡大の防止及び駆除を目的とした生息調査