Webレポート
尻別川の未来を考えるオビラメの会
【ニセコ町】尻別川の未来を考えるオビラメの会 Webレポート
団体名:尻別川の未来を考えるオビラメの会
事業名:絶滅危惧種イトウ尻別川個体群のレスキュー事業
尻別川は、絶滅危惧種イトウ(サケ科)の生息南限として知られています。2001 年から国際指針に 基づく再導入/補充(種苗を人為的に導入して自然繁殖再開の呼び水にする取り組み)を進めている当会 は 2012 年、世界で初めて再導入イトウの自然繁殖成功を確認し、現在はこの手法による尻別川流域全 体でのイトウ個体群復元を目指しています。
北海道 e- 水プロジェクト助成金によっ て実施した「イトウ見まもり隊活動」は、 倶知安町内の尻別川水系支川(乱獲防止 のため名称非公表)の野生イトウ自然繁 殖地で、繁殖時期に合わせて、繁殖行動 妨害行為(釣り、水中撮影など)の防止と、 繁殖状況モニタリングを目的とする監視 活動です。今季は 4 月 19 日から 5 月 19 日まで、地元自治体・教育委員会・ 河川管理者らと協働で実施し、当会のボ ランティア(見まもり隊員)が期間中 24 時間体制で現地に常駐しました。期間中の参加隊員数はのべ 108 人日、見学者は 175 人日でした。当会は、見まもり隊活動を開始した 2011 年から7季連続でイ トウ自然繁殖の完全保護に成功しました。
また「ストック管理事業」は、再導入に供する種苗を得るために欠かせないプログラムです。ニセコ町 内および倶知安町内の飼育施設で、合わせて約 80 尾のイトウ親魚を健康な状態で飼育しています。これ ら飼育親魚を対象に、2017 年 5 月 20 日、21 日に人工採卵に望み、計8尾の雌イトウから計 12400 粒の卵を採取することに成功しました。しかし雄イトウから採取した精子の状態が芳しくなく、人工授精 後の孵化率は残念ながら1割未満に留まりました。来季以降の成功に向け、改良点を洗い出しているとこ ろです。なおニセコ町内の飼育施設(有島ポンド)での人工採卵は一般公開しました。
また「有島ポンド取水設備改修工事」を 2017 年 4 月 2 日と8月 25 日に実施しました。2015 年秋 に造成したイトウ飼育施設「有島ポンド」(ニセコ町有島記念公園内)は、近くを流れる第 2 カシュンベ ツ川(尻別川水系)から取水していますが、河川増水時に枝葉や腐食物が大量に流下して取水口が目詰ま りを起こしていたことから、構造を改良しました。専門家の助言を得ながら会員ボランティアが「手作り」 で工事しました。改良は成功し、ポンドのイトウ親魚たちをより安全に飼育できるようになりました。
イトウ地域個体群に対しては長く「ボランティアまかせ」の状況が続いています。地元から絶滅危惧種 を絶滅させないための総合的な施策を提案していきたいと考えています。 尻別川の未来を考えるオビラメの会

尻別川の未来を考えるオビラメの会
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