Webレポート

事業名

みんなで作ろう手作り魚道

【美幌町】福豊川に魚道をつくる会 Webレポート

団体名:福豊川に魚道をつくる会

事業名:みんなで作ろう手作り魚道

 

私たちの活動する美幌町は、基幹産業が農業と言うこともあり、昭和 50 年代を中心に畑の生産性を 高めるために農地改良が行われてきました。それに伴い水はけを良くするため、川が直線化され、落差工 と呼ばれる小さな段差が川に次々と造られました。すると川にくらすサケやマスなどの魚が、段差を越 えられず上流で産卵することが出来なくなりました。そこで、私たちはこうした段差を解消し、魚が川を 自由に行き来できるようにするため、手作りの魚道を設置しました。 活動は、魚道づくりと、効果検証調査、普及啓蒙の 3 つにわかれます。 まず、魚道づくりです。雪解けが落ち着いた平成 27 年 5 月。専門家の方と共に落差工の測量を行い、 それを基に設計図を作成しました。もちろん、魚道設置のための許可は頂きました。

 

さて、この魚道は、地元のカラマツ材と畑から取り除かれた石を使った魚道です。骨組にはカラマツ材 を使い、ネジやカスガイを使ってその材を連結します。骨組が完成した後は、この中に石を詰めます。 1m の落差を解消するため、石と土のう袋をスロープになるように積み上げていきます。たくさんの石を 入れなければならないので、大変な作業でした。

 

平成 27 年 10 月 24 日の魚道づくりの日は、会員や地元の住民、大学生など 24 名が魚道づくりに 参加し、魚道を完成させることが出来ました。ちなみに、この魚道は、幅 1m 程度です。この設計で魚 道がうまく機能すれば、川幅の広い川であっても、幅 1m 程度の工事で、魚道設置が可能になります。 今後、手作り魚道を普及させる上でも、期待できる魚道になりそうです。 

 

次に、魚道の効果を検証するため、落差工の上流と下流で魚類の調査を行いました。その結果、落差工 の下流のみでアメマスが確認されました。今後、魚道設置によって魚の遡上が期待されます。また、自動 撮影装置を用いて落差工上流域の動物相を調査しました。その結果、平成 27 年 8-9 月にかけては、川 周辺でヒグマが観察されました。ヒグマが観察された時期は、魚が遡上する時期と重なります。魚道設置 を待ち望んでいるのは魚だけでは無いようです。 

 

最後に、普及啓蒙活動です。今回の魚道づくりや、調査のよって得られた成果を地元の美幌博物館のロ ビー展として開催しました。 

 

こうした活動を通して、川の自然を取り戻すことが出来ました。今後は、手作り魚道を維持管理しなが ら、生き物たちの再生を見守っていきたいと考えています。

福豊川に魚道をつくる会
助成団体

福豊川に魚道をつくる会

事業名

みんなで作ろう手作り魚道