Webレポート
都市公園の水辺から学ぶ環境保全
【江別市】NPO法人TNR Webレポート
団体名:NPO法人TNR
事業名:都市公園の水辺から学ぶ環境保全
活動場所:札幌市清田区 平岡公園
活動日(期間):2014 年 8 月 16 日
参加人数:一般参加者 100 名,スタッフ 27 名,合計 127 名
【活動の背景】
平岡公園は札幌市清田区の住宅街にある総合公園でありながら周囲を森に囲まれた自然豊かな公園であり、地域の小学校などの遠足や環境教育イベントにも利用されている。とくに公園内の池や湿地には希少な生物が生息しており、水圏環境の保全活動の推進が望まれる。そこで本事業では公園内の水辺 から水圏環境保全について考える場を地域住民に提供することを目的として、公園内の水辺の水生生物や水質などについて専門家の説明を交えながら学ぶ「都市公園の水辺から学ぶ環境保全」事業を計画した。なお本事業は平岡公園管理事務所、酪農学園大学、市民活動団体平岡どんぐりの森の3者で構成された夏休みにぎわい隊が平岡公園にて毎年実施する夏休みにぎわいフェスタの一環として実施した。本法人が加わる事で主体となる団体やイベント自体のステップアップも図った。
【内容】
対象は地域の小学生とその保護者としてチラシを作成し(別紙1)、平岡公園管理事務所と平岡どんぐりの森の協力のもと、公園管理事務所のロビーへの設置や近隣の小学校への配布を行った。事業の内容としては当初、平岡公園の池や湿地、流入出する河川で生息する水生生物や水質について、専門家を招き野外学習形式で学ぶという内容であった。しかし夏休みにぎわい隊との話し合いの結果、昨年まで の参加者の年齢層や人数の多さを参考に内容を以下のように変更し実施した。
1.スタンプラリー
参加者が身の回りにある自然をよりよく観察し、気づく機会をつくることを目的として、自然を利用 したビンゴを実施した(別紙2の②)。参加者を大きく3つのグループに分け、それぞれを学生スタッ フが引率し公園内の散策路を歩きながら自然を観察した(写真1)。
2.体験コーナー
夏休みの自由研究を意識し、水を中心に取り巻く自然やそこに生息する生き物、水そのものについて 調べることの大切さやその必要性、「研究」とは何かについての入り口を体験することを目的とした。
2-1.魚類スケッチ・ぬり絵
豊平川サケ科学館のスタッフが魚の標本について説明し、魚の場合はどのような標本を作るのか、なぜ標本にするのかということを学んだ。またスケッチをしながらよく観察することで、種を同定するポイ ント等について学んだ(写真2)。スケッチの難しい幼児には実物を見ながらのぬりえを体験してもら った。
2-2.水質の調査
水質の測り方を知り、生き物の棲める水や棲めない水、飲める水、飲めない水があることを学ぶため公園内の水質をパックテストによって計測した(写真3)。計測する水はスタッフが事前に公園内の3ヶ所から採水し、参加者はパックテストを1人1つ持ち、3つの水のうち1つの水質を調べた。パックテス トの結果はワークシートに色鉛筆で記録してもらい、公園内の水質について説明をした。説明等は水質調査を主としている学生スタッフが担当した。なお内容の難しさと参加者の理解度を加味して、水の調査は基本的に小学校3年生以上を対象とし、それ以下の子どもはカエルとふれあいのコーナーに参加してもらった。
2-3.カエルとふれあい
公園に生息する外来種のカエルであるトノサマガエルについて知り、なぜ外来種が生息するのか、どの ようなカエルなのかについて学んでもらうことを目的とした。学生スタッフによるトノサマガエルに関するレクチャーの後、たらいに浮かべたカエルとの触れ合いの時間を設けた(写真4)。触れ合いを通 して子ども達には生き物への興味を持たせ、保護者には外来種の多くの原因となるペットの放棄につい て知ってもらうきっかけ作りとなった。
3.魚捕り実際の調査と同じ体験をしてもらうため、タモ網を持って公園内にある小川に入り魚捕りを実施した (写真5)。足元が不安定なため、幼児~低学年の参加者には保護者にも小川に入ってもらった。捕獲 した魚や水生生物はバケツに入れ、最後は大きなたらいに移しサケ科学館のスタッフの説明を聞きなが ら観察した(写真6)。
4.まとめ
平岡公園内にいる生き物と水の関係、外来種についてこの活動で学んだことを活かし、水を守るために 必要なことや外来種を作らないために自分たちでできることについて再確認した。最後に集合写真を撮影し活動を終えた(写真7)。
【ワークシート】
ビンゴと水質についての内容を1部にまとめたワークシートを作成し、開始前に参加者へ配布した(別 紙2、写真8)。ワークシートは耐水紙で作成し、紙にも様々な種類があり調査研究の際には濡れても 書ける耐水紙を使用することを説明した。
【成果】
公園の水と生き物を通して、水辺を取り巻く地域の自然に対する参加者の意識が大きく変化した様子がうかがえた。さらに本事業を通し、参加者は観察することの大切さを学び、身近な自然により注意の目を向けるようになった。実際、活動解散後の帰り道でも植物の落ちた実や虫を観察している姿が多く見られた。また水質を測る、魚を捕獲する等といった学術的,科学的な自然環境調査さながらの体験をすることで参加者の知的好奇心をかき立てるような活動ができた。今後は活動の内容を見直し、身近な環境問題や他地域の自然環境にも興味が沸くような活動も実施していく必要がある。

NPO法人TNR
都市公園の水辺から学ぶ環境保全