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【南幌町】特定非営利活動法人ふらっと南幌 Webレポート

団体名:特定非営利法人 ふらっと南幌 

事業名:「幌向湿原固有種植生の再生・環境保全・活用事業」 

事業概要:「幌向湿原固有種」植生 7 種の種子の採取・育苗・試験栽培試行。ミズゴケ栽培先進地 の視察。体験型フットバス・ウォーキングの実施。 

 

・南幌町における「幌向湿原固有植生の再生・環境保全・活用事業

 

私達「ふらっと南幌」が活動している南幌町周辺の夕張川流域は、かつては「幌向原野」と呼ばれ、 明治~大正にかけて湿生植物研究の重要な調査拠点であったことから、実に 7 種類もの固有種が発 見され、それらには「ホロムイ」の和名が冠されています。ひとつの地名が 7 種類もの植物に命名 されるケースは稀なことであるとのご示唆を専門研究者から頂いたことをきっかけに、私達は地域 の開拓の歴史とともに失われたこれらの「固有植生」の再生をテーマにして、北海道e-水プロジ ェクト助成金で、環境保全・活用に取り組むことにしました。 

事業開始にあたって、保全再生事業対象地を組込んだコースの設定とマップの作成、現地視察を 含んだフットパス・ウォーキングと今後の取組み方向を検討するワークショップを開催しました。 

さらに、専門研究者の指導助言と雪印種苗㈱の技術者の協力を得て、南幌町内~近隣の「湿生植 物」の分布状況調査とともに、「固有種」が現存している道内の湿原:美唄湿原、サロベツ湿原、松 山湿原、ニセコ鏡沼湿原等における「固有種植生」の現存状況・生育環境条件調査を行いました。 特に美唄湿原においては、北海道農業研究センターに許可申請をした上で、今後の「固有種再生」 に向けての育苗・試験栽培に必要な採種と組織培養のためのサンプル採取を行うとともに、南幌町 内での残存種の採種作業を行いました。 

我々の求める固有種が現存している自生地調査の結果、環境条件として、かなりの湿潤状態の確 保が必須であり、そのためにも試験栽培地の基盤として「ミズゴケ」の確保・育成が大きなカギで あることがわかりました。専門研究者からのアドバイスと国内における先進的研究者の御紹介を頂 き、熊本県阿蘇村の東海大学農学部の応用植物科学研究室の取組み状況と試験地の視察が実現し、 今後に向けての大きな成果が得られました。 

研究者・専門技術者の方々の御協力によって、南幌周辺において、全7種類の固有種の現存が確 認されたことから、今後は「再生・保全」と「栽培・活用」の両面から取組んで行くこととし、中 でも、今年度のホロムイイチゴ、ホロムイリンドウ、ツルコケモモ等の採種とサンプル採取の成果 を活かした播種と組織培養による「育苗・試験栽培・活用実験」とともに、「幌向湿原固有植生」の 生息環境保全のための「ミズゴケ栽培の試験・研究」を継続する予定です。