Webレポート

事業名

絶滅危惧種イトウ尻別川個体群の繁殖地の保全活動

【ニセコ町】 尻別川の未来を考えるオビラメの会 Webレポート

団体名:尻別川の未来を考えるオビラメの会 (ニセコ町) 

事業名:絶滅危惧種イトウ尻別川個体群の繁殖地の保全活動 

事業概要:イトウ繁殖期に合わせ、24 時間体制で繁殖地をパトロールします。保護活動に支障を来さな い範囲で最大限の情報を公開します。訪れる見学者(児童、生徒、一般の方々)に対してフィールドガ イドを行います。繁殖期終了後、報告会を開いて成果を発表。情報公開とフィールドガイド、成果発表 によって、訪れるみなさんにイトウの魅力を伝え、保護管理の重要性へのご理解を促し、尻別川個体群 復元の機運を盛り上げます。 

 

イトウは日本列島に生息するうち最大の淡水魚として知られています。北海道・尻別川はその生息南 限ですが、昭和中期以降は自然環境の破壊が進み、何より大切な繁殖環境が失われるなどした結果、尻 別川個体群は「絶滅寸前」と判定されるほどの危機に陥ってしまいました。1996 年から復元活動に取り 組む私たち「オビラメの会」は、関係機関との協働によって 2012 年春、同水系倶登山川で再導入(人工 的に個体を導入することによって再定着を促す試み)実験に世界で初めて成功しました。 この成果を尻別川全域での個体群復元につなげるために、北海道e-水プロジェクト助成金によって 2013 年度、次の3つの事業に取り組みました。 

第1はイトウ繁殖期に合わせての自然繁殖河川における「見まもり隊」活動です。5月1日から 31 日 まで、流域でただ1カ所だけ確認されているイトウ自然繁殖地で実施しました。地元自治体(倶知安町) や河川管理者(北海道)と協働で適切な見学ルートを新設し、川のそばに簡易ハウスを設置してボラン ティアによる 24 時間体制の監視を続けました。見学者を含め、延べ 290 人以上が参画し、今季も無事に 遡上イトウたちの繁殖環境を保全することができました。 

第2は、再導入活動を支えるイトウ親魚飼育施設の補修工事です(6月9日)。国際自然保護連合の再 導入指針に準じてストック(再導入する個体=人工孵化稚魚)を生産するため、当会は倶知安町内にイ トウ親魚の飼育池を保有し、尻別川個体群の遺伝子を継ぐ親魚を飼育しています。6年ぶりに本格的な 補修工事を実施しました。

第3はポケットサイズのパンフレット「ボクら、イトウのレスキュー隊」の発行です(11 月 30 日)。 イトウ研究の第一人者で、北海道立総合研究機構の川村洋司さんを監修者に迎え、16 ページ建て、全編 カラーで 3000 部を制作しました。来季以降、尻別川を訪れるイトウ見学者(地元小中学校の見学学習な ど)に無料配布し、イトウ個体群復元の意義を伝えていく考えです。 

当会は 2030 年に尻別川イトウ個体群の完全復元を果たす「オビラメ復活 30 年計画」を遂行中です。 半ばに差しかかった計画は、みなさまのご支援のおかげでおおむね順調に進んできました。ゴールに向 けて引き続き努力していきます。

尻別川の未来を考えるオビラメの会
助成団体

尻別川の未来を考えるオビラメの会

事業名

絶滅危惧種イトウ尻別川個体群の繁殖地の保全活動