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ほろむい七草(幌向湿原固有種植生)の再生・保全・活用実験事業
【南幌町】特定非営利活動法人ふらっと南幌 Webレポート
団体名:NPO 法人 ふらっと南幌 (南幌町)
事業名:ほろむい七草(幌向湿原固有種植生)の再生・保全・活用実験事業
事業概要:「ほろむい七草」の採種種子による育苗・試験栽培等の試行とともに、試験地の観察や保全活 動体験を組入れたフットパス・ウォーキングを実施。学術的再生・保全と栽培・活用(ワイズユース) の両面での取組を並行して実施するとし、花や加工食品に活用出来るものは「地域おこし活動」が可能 になる。また、湿原状態を保つ「ミズゴケ」が環境保全・防疫等の条件から世界的に供給が限られて来 ていて、将来の市場性があることから、販売用栽培の新しい地域ビジネスとしての可能性も期待される。
私達が活動している南幌町周辺の夕張川・千歳川流域は、かつては幌向原野と呼ばれ、明治~大 正にかけて湿生植物研究の重要な調査拠点であったことから、実に 7 種類もの固有種が発見され、 それらには「ホロムイ」の和名が冠されています。永年にわたって私達を御指導頂いた故辻井達一 先生から「ひとつの地名が 7 種類もの植物に命名されるケースは稀なことである!」との御示唆を 頂いたことをきっかけに、私達は地域の開拓の歴史とともに失われたこれらの「固有植生」の再生 をテーマにした活動を始めました。今年度は以下の事業に取り組みました。
①ほろむい七草の生育環境条件の把握と再生用苗の確保(平成25年7月~10月) 農水省北海道農業研究センターが管理されている「美唄湿原」をフィールドに、湿原植生の生 育条件を把握するとともに、同センターの許可を得て「ほろむい七草」の再生に向けての苗株の 確保のための種子・サンプルの採取を行いました。 最近は乾燥化と共に進行しつつある笹の侵入の影響が見られることから、農業研究センターと の協定に基づいた共同研究として、来春以降「試験区の笹刈り実験」を行う予定です。また、札 幌市平岡公園の人口湿地など、道内各地での湿原再生の試みの実績をお持ちの札幌市立大学矢部 和夫教授の御指導で、地域の方々と共に湿原植生の再生に向けての学習を続けています。
②ミズゴケの試験栽培(平成25年7月~11月:冬季も継続) 昨年事業の成果で連携の御縁が出来た東海大学農学部応用植物科学科准教授星良和先生から、 永年の実績をお持ちのミズゴケ栽培のノウハウを提供頂きながら都合3回延べ9日間の懇切丁寧 な御指導を頂きました。先生の御指導によって習得できた「試験栽培用ユニット」製作を進め、 丁度100基程準備出来た時期に「幌向湿原由来のミズゴケ」を江別河川事務所の御協力で御提 供頂き移植出来ました。南幌町内の工業団地内の企業の御協力でミズゴケ栽培試験地が確保でき、 昨秋以来先行して取組んでいたNPOメンバーの自社屋屋上庭園での試験栽培と併せて、この冬 の越冬実験に入ります。
今後は、ホロムイイチゴやホロムイリンドウ、ツルコケモモなどの苗を子供達も参加する里親 制度によって育て、美しい花を楽しんだり、実をジャム・ソース・リキュール等に加工・試食・ 試飲する楽しい実験にも取り組んで行く予定です。

特定非営利活動法人ふらっと南幌
ほろむい七草(幌向湿原固有種植生)の再生・保全・活用実験事業